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いざ飛騨高山の美味しいを追求する旅へ!
グルメ
苔川の清らかな流れを臨む、岐阜県高山市西之一色町。
歴史ある町並みから少し離れた、落ち着いた住宅街の一角に、人々が静かに列をなすパン屋があります。
その名は「TRAIN BLEU(トランブルー)」。
石畳を踏みしめてお店に近づくと、ふわりと香ばしいバターの香りが鼻先をくすぐり、まだ開店前だというのに扉の前にはすでに多くの人が静かに待ちわびています。
地元の人はもちろん、遠方からもこのパンを求めてやって来るファンが絶えない、まさに「特別なパン屋」。
飛騨高山という地で、まるでフランスの田舎町に迷い込んだかのような、そんな上質な時間がここには流れています。一歩足を踏み入れれば、目に映るのは丁寧に並べられたパンたちの芸術的な美しさと、凛とした気品。ここは、パンが主役の“静かな感動”に出会える場所です。
どんな思いでこのお店が生まれ、今に至るのか。その歩みを、じっくりと紐解いていきましょう。
成瀬正(Tadashi Naruse)氏は、フランス・パリで開催される世界最高峰のパン職人の大会「クープ デュ モンド ドゥ ラ ブーランジェリー」において、2005年に日本代表チームリーダーとして世界第3位を獲得した伝説のパン職人です。
高山の地元のパン屋「なるせ」の4代目として、国際大会で受賞し、その技術と名声を世界中に広めました。
1989年、成瀬氏は成城大学経済学部卒業後、アートコーヒーやホテルオークラ東京、日本パン技術研究所などで修行を重ね、故郷高山市にパン屋「トラン・ブルー」をオープン。
本物のパンを地元に届けるという目標を掲げ、世界に認められる存在へと成長を遂げました。
2005年に世界第3位を獲得した後、2012年には監督として再度大会に挑み、堂々の優勝を果たします。
また、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にも出演し、成瀬氏のパン作りへの情熱と哲学が広く知られることとなりました。
岐阜県・飛騨高山の静かな住宅街に佇むパン屋「トラン・ブルー」。
その店名は、フランス語で“青い列車(ブルートレイン)”を意味します。
長い時間をかけて目的地へと向かうブルートレインのように、「一歩ずつでも、確かなパン作りを続けていきたい」というオーナーの想いが込められています。
創業は今から36年前の1989年。
もともと家業である「なるせぱん」の歴史を守りつつ、新しい風を吹き込むべく「本物志向」のパンを学ぶため、オーナーは東京で修行を積みました。
その後、2年以上の準備期間を経て「地方でも本格的なパンを届けたい」という信念のもと、「トラン・ブルー」を高山にオープン。
以来、地元はもちろん、県外からの観光客からも長く愛され続けています。
「トラン・ブルー」では、クロワッサンやデニッシュをはじめ、フランスパンやドイツパンなどのハード系まで、多彩なラインナップを揃えています。クラシックでありながら、どのパンにも確かな技術と素材へのこだわりが光ります。
なかでも看板メニューのクロワッサンは、発酵バターの香りと軽やかな食感が絶妙で、遠方から通うファンも多い一品です。
パン作りに使う素材はすべて厳選されたものばかり。フルーツは一つひとつ丁寧に手で剥き、贅沢な素材と確かな技術で、見た目も味も“本物”を追求しています。
「飛騨山椒を使った若鶏のフォカッチャ」や、「季節のフルーツを使ったデニッシュ」など、地元食材を活かしたパンも多数登場。季節ごとに変わる限定商品を目当てに訪れる常連さんも少なくありません。
外観・内装ともに、フランスの田舎町にありそうなパン屋をイメージ。木の温もりとパンの香ばしい香りがあふれる店内は、初めて訪れる人でもどこか懐かしさを感じるような、あたたかな空間です。
「また来たくなる」「誰かに教えたくなる」——そんな声が聞こえてくるのも納得です。
パンドミ | スイートロールマウンテン | (季節のデニッシュ) |
デニッシュ食パン | ミルクスティック | 苺のデニッシュ |
角食 | ハニート―スト | デコポンのデニッシュ |
カナッペ | バニーユ | 清見オレンジのデニッシュ |
キャフェ | アメリカンチェリーのデニッシュ | |
クロワッサン | フォカッチャ | パイナップルのデニッシュ |
バトン | チーズオリエンタル | 清見のブルーベリーのデニッシュ |
ピスタチオのクロワッサン | 飛騨牛カレーパン | 桃のデニッシュ |
クイニーアマン | 和栗のデニッシュ | |
バナーヌ | パンドーロ | りんごとクルミのデニッシュ |
ミルティル | シュトレン | |
オランジュ | ||
ブレッツエル | ドイツパン各種 | |
パンオショコラ | ||
クロワッサンオザマンド | ||
ベーコンとトマトのクロワッサン | ||
バタール | ||
バゲット | ||
Tバゲット | ||
Tリュスティック | ||
フィセル | ||
3種のチーズバゲット | ||
オリーヴのリュスティック | ||
さつまいもと栗と黒ゴマのリュスティック | ||
ショコラ |
(表記は順不同です。)
取材時に、貴重な昔の写真を拝見しました。
左上に写るのは、まだ「なるせパン」ではなく「なるせ菓子」として営業されていた頃の店舗。1912年(大正元年)に創業され、当時は、和菓子やおまんじゅうなどを中心に販売されていたそうです。
右と下の写真は、1963年(昭和38年)頃、八軒町の陣屋横から現在の西之一色へ移転する際の工事風景。手前のお子様は当時の成瀬正さん。店の形は変わっても、職人としての丁寧な手仕事や、お菓子作りへの真摯な思いは、今のパンづくりにも脈々と受け継がれています。
そして高山市で長年親しまれてきた「なるせパン」さんは、現在は4代目・成瀬正さんがその味と志を受け継いでいます。もともとは学校給食や病院にパンを卸す製造業を主としており、地元では「給食のパンと言えばなるせ」というほどの知名度を誇ります。今でも高山市内のスーパーで、「NARUSE」のロゴが入った袋のパンを目にすることができます。
そして現在の「トラン・ブルー」さんへと至るのです。
そんなルーツを持つ「トラン・ブルー」さんには、地元の子どもから大人まで根強いファンが多いのも納得の理由です。その存在こそが、オーナーにとっての何よりの“評価”です。
また、レストランへの卸しや地元マルシェ、ワイン会などへの提供を通じて、地域とのつながりも大切にしています。さらに、営業日も地元の事情を考慮し、高山の飲食店が休みがちな火曜を外して、水・木曜休みに変更。細やかな心遣いに、地域への愛が感じられます。
店頭では、「感謝の気持ちを忘れず、丁寧に心を込めて接する」ことを大切にされているそうで、それは一度訪れれば、スタッフのやわらかな声かけや、笑顔での応対からすぐに伝わってきます。
「パンだけじゃない、ここに来ると気持ちまで満たされる」——そんな声が多いのも、このお店の魅力です。
近年は、帰郷したご長男がドイツパンなどの新たなラインナップを手がけ、伝統を守りながら革新にも挑戦しています。
スタッフも、以前の開業を目指す若手パン職人たちから、地元の幅広い経歴と世代のメンバーにシフト。経験や視点の多様性が、より豊かなパン作りへとつながっています。
「トラン・ブルー」さんは、流行に流されることなく、自分たちの信じる味を守り抜くことを大切にしています。そしてこれからも、日々のパン作りにまっすぐ向き合い、訪れる人の心に残る一品を焼き続けていくでしょう。
「たくさんの地元の方々に支えられて、36年間パンを焼き続けてこられました。
ひとつひとつのパンに込めた想いは、開店当初から何も変わっていません。
朝の食卓に、旅先でのひとときに、誰かの特別な時間に、
“トラン・ブルー”のパンがそっと寄り添えたら、それが何よりの喜びです。
これからも、皆さんに喜んでいただけるように、
スタッフ一丸となって、誠実にパン作りと向き合っていきます。
“トラン・ブルー”のパンが、誰かの楽しみのひとつになりますように。」
── オーナー 成瀬 正
職人として、経営者として、そして一人の人間として。
オーナー・成瀬さんの言葉には、パンづくりへの真摯な姿勢と、自分に対して一切の妥協を許さない覚悟がにじんでいました。
穏やかな語り口のなかに宿る強さと、36年という月日をかけて積み重ねてきた信念。
この場所が、ただパンを買いにくる店ではなく、人々の記憶に残る“体験”の場になっている理由が、少しだけわかった気がします。
「変わらず、でも進化を続ける」──
その言葉の重みを、焼きたてのパンの香りとともに、深く感じた一日でした。
INFORMATION
「どのパンを選んでも、素材の良さと丁寧に作られているのが伝わってくるんです。
ハード系のパンはしっかりとした噛みごたえがあって、噛むたびに小麦の風味が広がりますし、スイーツ系のパンや焼き菓子も、甘さがちょうどよくて、つい手が伸びてしまいます。
お店の方もあたたかくて、おすすめを聞くと気さくに教えてくれるのが嬉しいですね。
おしゃれで落ち着いた雰囲気の店内で、パンの香ばしい香りに包まれながら過ごす時間も、すごく心地いいんです。
地元の方にも観光の方にもぜひ立ち寄っていただきたい、そんな素敵なお店です。」
※この情報は2025年5月現在の情報です。
この記事を書いた人:ひだホテルプラザKさん
JR高山駅から徒歩5分。
ようこそ魅力あふれる街 飛騨高山へ。
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